金庫には「耐火金庫」と「防盗金庫」 の2種類があります。
耐火金庫とは「火災対策」の性能を持った金庫です。JIS(日本工業規格)に基づき、建物火災から震災による衝撃や二次災害としての火災まで、大火災時の消火活動が困難なケースを想定し、耐火試験の基準が設けられています。
標準加熱試験 徐々に火が広がる火災を想定
JIS(日本工業規格 JIS S 1037)
- 金庫を炉内に入れ、JISが定める標準温度曲線に従って規則時間加熱を行う。
- 加熱終了後は、炉内で自然放冷し庫内温度の低下が明らかに認められるまで測定を行う。
合格基準
一般紙用耐火試験の場合
- 庫内の最高温度177℃以下である。
- 庫内の壁全体に貼った新聞紙が変色・劣化などが著しくなく判読可能である。
フレキシブルディスクカートリッジ用耐火試験の場合
- 庫内の最高温度52℃以下、最高湿度85%以下である。
急加熱・衝撃落下併用試験 急激な発火による温度上昇や、爆発による衝撃を想定
- あらかじめ1,090℃以上に加熱された加熱炉に素早く金庫を入れ、規定時間加熱する。
- 金庫に破損がないか確認した後に、さらに標準温度曲線に従って追加熱を行う。
- 加熱炉から金庫を出し、9.1m(30フィート)の高さより半砕けのレンガの山に落下させる。
- 再度加熱炉に入れ、規定時間加熱する。
- 加熱終了後、加熱炉内で自然放冷する。
合格基準
一般紙用耐火試験の場合
- 試験体に破損がないこと。
- 施錠状態を維持していること。
- 庫内の壁全体に貼った新聞紙が変色・劣化などが著しくなく判読可能である。
耐火のメカニズム
火災時に外部温度が上昇すると、耐火材に含まれている水分が気化し、この気化熱で庫内の温度を下げます。また、蒸気化した水分は扉のスキ間から庫外に噴出し炎の侵入を防ぐ役割をしています。
半永久的に使えると思われがちな耐火金庫ですが、耐火材である気泡コンクリートに含まれる水分が長期使用により気化してしまい、本来の耐火性能を発揮する事ができなくなります。日セフ連では、耐火金庫の有効耐用年数の基準を製造後20年として。これを目安に買替やセキュリティの見直しをおすすめしています。お使いになっている金庫の製造年月日をお調べください。
防盗金庫とは耐火機能に加え「盗難対策」の性能を持った金庫です。日セフ連(日本セーフ・ファニチュア共同組合連合会)ではドリルやハンマーなどの工具、バナーによるガス溶断の破壊行為を想定し、防盗試験の基準が設けられています。
耐工具試験・耐溶断式試験 工具による金庫破壊行為を想定
事前に提出した図面を基に弱点を検討し準備の上で規定の工具を使い3種類の破壊試験を行う。
- 施術機構への攻撃
- 扉及びカンヌキへの攻撃
- 浸入口を開ける。(Φ100mm)
合格基準
侵入口の開口を防ぎ、全ての試験が実施時間以上経過した場合。
金庫の機能・性能によって収納に適さないものがあります。
収納するもの | ・一般紙 ・一般紙を用いた書類 ・書籍 ・印刷物 |
・フロッピー ・ビデオテープ ・コンパクトディスク ・フィルム類の全て ・磁気テープ ・磁気カード |
・真珠 ・ひすい ・エメラルド ・オパール ・半貴石 (色の薄い石、アクアマリン、トルマリンなど) |
・書 ・絵画 ・掛け軸 ・骨董品 ・漆器 ・塗物 ・金箔類 ・高価な装飾品 ・細工物 |
・多額の現金 ・小切手 ・約束手形 ・宝石類 ・貴金属 その他特別な値打ちがあって盗まれたくないもの |
金庫のタイプ | |||||
一般紙用耐火金庫 | ○ | × | × | × | × |
磁気メディア | ○ | ○ | △ | △ | △ |
防盗耐火金庫 | ○ | × | × | × | ○ |
注意 | 庫内は、一般紙が燃えないように177℃に保たれます。 | 磁気で記録された情報は52℃~65度以下でも蒸気にさらされると磁性体が消えてしまいます。セーフデータをご使用ください。 | 火災時の高熱で変色・ひび割れなどが生じる事があります。宝石類の耐火温度についてはお買い求めの宝石店でお確かめ下さい。 | 高価な装飾品、細工物は保管状態に敏感です。著しく変色、変形し剥脱するなど価値を失う恐れがあります。 | 夜間・休日の不在時に工具等による金庫破りなど盗難に遭う恐れがあります。防盗金庫をお勧めします。 |
○:収納に適すモノ △:収納に注意を要するモノ ×:収納に適さないモノ
JIS耐火性能試験合格品
耐火金庫の耐用年数は製造後20年です。
半永久的に使えると思われがちな耐火金庫ですが、耐火材である気泡コンクリートに含まれる水分が長期使用により気化してしまい、本来の耐火性能を発揮する事ができなくなります。日セフ連では耐火金庫の有効耐用年数の基準を製造後20年としてこれを目安に買換えやセキュリティーの見直しをおすすめしています。いざという時のためにも、お使いになっている金庫の製造年数をお調べください。